どんなものか
赤字の年に生じた欠損金額を、前の年に「繰り戻して」、前の年に納めた法人税の一部を返してもらう制度です。法人税法とタックスアンサーを参照して要点をまとめると、次のとおりです(参照:法人税法 第80条第1項、タックスアンサー No.5763)。
- 繰り戻せる先:欠損金額が生じた事業年度(欠損事業年度)の開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)
- 戻ってくる額:還付所得事業年度の法人税の額に、その年の所得の金額のうち繰り戻す欠損金額が占める割合を掛けた額
- 請求の時期:欠損事業年度の確定申告書の提出と同時に、還付請求書を出す
使える会社と要件
タックスアンサーでは、この制度は中小企業者等以外の法人の、平成4年4月1日から令和10年3月31日までの間に終了する事業年度の欠損金額には適用しないとされています(解散・災害などの例外があります)。中小企業者等には、資本金の額が1億円以下の普通法人(大法人の完全子法人などを除く)が含まれます(参照:タックスアンサー No.5763)。
青色申告の法人が使う場合の要件は、次のとおりです(参照:タックスアンサー No.5763、法人税法 第80条第3項)。
- 還付所得事業年度から欠損事業年度の前の事業年度まで、続けて青色申告の確定申告書を出していること
- 欠損事業年度の青色申告の確定申告書を、提出期限までに出していること
- その確定申告書と同時に、還付請求書を出していること
別表一の欄
還付を請求する金額は、別表一の23欄「欠損金の繰戻しによる還付請求税額」に書く欄があります。
架空の会社の「当期が赤字」のパターンでは、繰戻し還付は使わず、欠損金額3,000,000円を別表七(一)で翌期に繰り越す前提です。23欄は空欄です。
繰越控除との違い
| 項目 | 繰戻し還付 | 繰越控除 |
|---|---|---|
| 向き | 前の年へ | 後の年へ |
| 効果 | 前の年に納めた法人税が戻る | 後の年の所得から差し引く |
| 根拠 | 法人税法 第80条 | タックスアンサー No.5762 |
知っておきたいこと
- 戻ってくるのは法人税です。法人税法 第80条は「法人税の還付」を請求できるとしていて、住民税・事業税の扱いはこの条文には書かれていません
- 還付金額の計算は、還付請求書に記載した金額が限度になります(参照:タックスアンサー No.5763)
出典:法人税法 第80条、タックスアンサー No.5763「欠損金の繰戻しによる還付」(令和8年4月1日現在法令等)、別表一の様式
掲載している会社・数値はすべて架空のものです。学習用の一般的な説明で、個別の申告内容についての判断は、税理士などの専門家にご確認ください。
最終更新日:2026-10-11