テーマ別の解説

減価償却と別表の流れ(定額法・定率法・少額・一括)

決算で計上した減価償却費や消耗品費が、資産の種類ごとに別表十六(一)(二)(七)(八)で計算され、償却超過額などが別表四6欄・別表五(一)へつながる流れを、架空の会社の数字で解説します。

掲載している会社・数値はすべて架空のものです。リンクを押すと、その帳票の欄が選ばれた状態で開きます。

会社がパソコンや備品などの資産を買ったとき、会計ではその代金を減価償却費や消耗品費として費用にします。税務では、資産の種類と金額によって、その年に損金にできる額の計算方法が違い、計算する別表も分かれます。

架空の会社の4つの資産

株式会社べっぴょう(黒字のパターン)の例です。試算表の減価償却費1,450,000円と、消耗品費のうち資産の分(600,000円)が、次のように分かれます。

資産 扱い 別表 決算で費用にした額 税務の限度額 超えた額
器具備品 定額法 十六(一) 1,200,000 1,100,000 100,000
倉庫の棚 定率法 十六(二) 250,000 250,000 0
ノートパソコン2台 少額減価償却資産 十六(七) 420,000 全額 0
応接セット 一括償却資産 十六(八) 180,000 60,000 120,000
  • 定額法・定率法:耐用年数に応じた償却限度額まで損金になります。決算の償却費が限度額を超えた部分が償却超過額です。定率法では、調整前償却額が償却保証額に満たない年から改定償却率を使います(参照:タックスアンサー No.5410)。
  • 少額減価償却資産:青色申告の中小企業者等が取得した30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)の資産は、年300万円まで全額をその年の損金にできます(参照:タックスアンサー No.5408)。
  • 一括償却資産:20万円未満の資産は、まとめて3年間で均等に損金にする方法を選べます。1年の限度額は「取得価額の合計額 × 当期の月数 ÷ 36」です(参照:留意点)。

超えた額は別表四6欄でまとめて加算

各別表で限度額を超えた額は、別表四の6欄「減価償却の償却超過額」で合計して加算します。架空の会社では100,000円+120,000円=220,000円です。

資産の価額として会社に残っている分なので、処分は「留保」です(220,000円)。別表五(一)には、資産の種類ごとに行を分けて積み上がります。

別表五(一)の行 当期の増③
減価償却超過額 100,000
一括償却資産損金算入限度超過額 120,000

留保した額は、翌期以降に戻ってきます。定額法・定率法の資産は、決算の償却費が限度額より少ない年(償却不足)にその範囲で認容されます。一括償却資産は、費用にしなかった年に「当期損金認容額」として損金になります。損金になる時期が後にずれるだけで、損金にならないまま終わるわけではありません(「別表四の「留保」と別表五(一)」)。

用意した例で試す

入力した状態で帳票が開きます。オレンジ色の欄が、入力によって変わった欄です。

自分で取得価額と耐用年数を入れて、定額法・定率法の年ごとの償却限度額を計算するときは、「減価償却の計算シミュレーター」が使えます。取得価額が40万円未満の資産を、10万円未満・一括償却資産・中小企業者等の特例のどれで処理できるかは、「少額減価償却資産の判定ツール」で確かめられます。

気をつけたい点

  • 10万円以上の資産を買ったときは、どの扱いにするか(通常の償却・少額の特例・一括償却)を決めてから決算をします。20万円未満の資産のうち、どれを一括償却にするかは会社が選べます(参照:留意点)
  • 少額減価償却資産の特例は、取得価額が10万円未満のものや一括償却資産にしたものには使えません(参照:タックスアンサー No.5408)
  • 一括償却資産は、途中で捨てたり売ったりしても3年間の計算を続けます(参照:留意点のチェックポイント)

出典:国税庁「令和7年版 法人税のあらましと申告の手引」申告書作成上の留意点(別表十六(一)・(二)・(七)・(八))、タックスアンサー No.5403・No.5408・No.5410(令和8年4月1日現在法令等)、令和8年版 別表四・別表十六の様式

最終更新日:2026-10-10

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