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法人税申告の流れ

中小法人を想定して、日々の記帳、月次の試算表、中間申告、決算整理、決算の確定、申告書(別表・地方税)の作成、電子申告と納付までの1年の流れを、6月決算の架空の会社で解説します。

掲載している会社・数値はすべて架空のものです。リンクを押すと、その帳票の欄が選ばれた状態で開きます。

法人税の申告書は、決算が終わってから一気に作るものではなく、1年間の会計処理の積み重ねの「最後の段階」です。このページでは、中小法人を想定して、日々の記帳から申告・納付までの流れを順番に見ていきます。帳簿は、会計ソフト・スプレッドシートなど、会社に合った方法で付けます。

例として、このサイトの架空の会社(株式会社べっぴょう:6月決算、資本金1,000万円、東京23区内に事務所が1か所)の事業年度(2025年7月1日〜2026年6月30日)に当てはめます。実際の手続や期限は会社によって違うので、国税庁・自治体の案内や税理士などの専門家で確認してください。

全体の流れ

時期(株式会社べっぴょうの場合) すること 主に使うもの
毎日・毎月 取引の記帳(仕訳)、月次の試算表の確認 帳簿(会計ソフト・スプレッドシートなど)
2026年1月〜2月末 中間申告・納付(前期実績の6/12) 中間申告書(申告ソフト・申告書の様式など)、e-Tax・eLTAX
2026年7月 決算整理(減価償却・税金の見積りなど) 帳簿
2026年7月〜8月 決算書の作成・株主総会での承認(確定決算) 帳簿の残高から作る決算書
2026年8月 申告書(別表・地方税)の作成 申告ソフト・申告書の様式など
2026年8月31日まで 確定申告書の提出と納付 e-Tax・eLTAX(電子申告)など
翌期(2026年7月〜) 前期分の税金の支払いを記帳する 帳簿

1. 日々の記帳

売上・仕入・経費の支払いなどの取引を、帳簿に仕訳として記録します。会計ソフトを使う場合は、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで仕訳の候補を作る機能もあります。スプレッドシートなどで付ける場合も、取引を漏れなく、科目ごとに集計できる形で記録しておくと、試算表・決算書を作りやすくなります。

青色申告の法人は、帳簿を備え付けて取引を記録し、保存する必要があります(国税庁の手引)。ここで記録した仕訳が、最後に申告書のすべての数字のもとになります。

2. 月次の試算表の確認

月末ごとに試算表を出して、残高のおかしな科目や入力漏れがないかを確かめます。申告書の数字は、最終的に試算表 → 決算書 → 別表と流れていくので、月次の段階で正しくしておくと決算が楽になります。

このサイトの試算表のページでは、決算整理後の試算表の各科目が、決算書と別表のどの欄につながるかをたどれます。

3. 中間申告と納付(事業年度の途中)

事業年度が6か月を超える普通法人は、原則として、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を提出します(国税庁の手引)。前期の法人税額をもとにする「予定申告」と、6か月で仮決算をする方法の2つがあり、前期実績による金額が10万円以下なら中間申告は不要です。

株式会社べっぴょうは前期の法人税額272,000円の6/12=136,000円を予定申告し、2026年2月末までに地方法人税・都民税・事業税とあわせて納付しました。納付した税金は、帳簿で「法人税、住民税及び事業税」として費用に計上しています(損金経理)。

この中間納付が、確定申告のときにどう扱われるかは「中間納付した税金の扱い」で解説しています。

4. 決算整理

事業年度が終わったら、決算整理仕訳を記録して、1年間の正しい損益と期末の財産を確定させます。主なものは次のとおりです。

  • 減価償却費の計上(株式会社べっぴょう:器具備品の減価償却費1,450,000円。定額法の1,200,000円と定率法の250,000円)
  • 売上・費用の期間のずれの調整(未払金・前払費用など)
  • 棚卸資産(在庫)の計上
  • 当期の税金の見積り:確定申告で払う法人税・住民税・事業税を見積もり、「法人税、住民税及び事業税」と「未払法人税等」を計上します(株式会社べっぴょう:119,000円)

最後の税金の見積りは、申告書の計算結果(法人税額や地方税額)を使うので、実務では申告書の計算と行き来しながら決めることが多い部分です。この金額が別表でどう扱われるかは「納税充当金の流れ」で解説しています。

5. 決算書の作成と確定(株主総会の承認)

決算整理が終わると、帳簿の残高から決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)を作ります。法人税の確定申告は、株主総会などの承認を受けた決算(確定決算)に基づいて行います(国税庁の手引)。

6. 申告書の作成

法人税の申告書は、決算書と科目の残高をもとに作ります。申告ソフトを使う場合は、会計ソフトの決算データを取り込めるものもあり、決算書の数字がそのまま申告書の出発点に入ります。

国税庁の手引では、別表には他の別表の金額を参照する欄があるため、作成に一定の順序があるとして、次の流れが示されています。

  1. 別表四・別表五(一)などを作り、所得金額を確定する:損益計算書の当期純利益から出発し、交際費(別表十五)、減価償却(別表十六(一)・十六(二)・少額減価償却資産の十六(七)・一括償却資産の十六(八))、受取配当(別表八(一))、寄附金(別表十四(二))、源泉所得税(別表六(一))などの明細書の結果を別表四で加算・減算します(明細書ごとの流れは「減価償却と別表の流れ」「受取配当と源泉所得税の流れ」「交際費と寄附金」)。
  2. 別表一を完成させ、納付税額を計算する:所得金額に税率を掛けて法人税額を出し、中間納付額を差し引きます(別表一)。
  3. 租税公課の計算をして、別表五(一)を完成させる:税金の発生と納付を別表五(二)で整理し、別表五(一)の利益積立金額を確定させます。
  4. 完成・提出:申告書を提出し、次の事業年度の申告に引き継ぎます。

書き終えた申告書で、帳票どうしの金額が合っているか(別表四の所得金額と別表一の所得金額など)は、「転記・検算チェックリスト」で順に確かめられます。

明細書の数字を変えると、別表四・所得金額・税額がどう変わるかは、入力済みの状態で開く例で試せます:交際費を増やすと・減価償却費を多く計上すると・一括償却資産を全額費用にすると。

地方税(法人住民税・事業税)の申告書も、法人税の申告書の結果(法人税額・所得金額)を使って作ります。東京23区の会社は第六号様式で都民税・事業税・特別法人事業税を計算します(「法人税の別表と地方税のつながり」)。

確定申告書には、決算書、勘定科目内訳明細書、事業等の概況に関する書類(法人事業概況説明書)などを添付します(国税庁の手引)。勘定科目内訳明細書は、帳簿の科目ごとの残高の内訳から作ります。添付する書類は「法人税の申告書に添付する書類」にまとめました。

7. 電子申告と納付

完成した申告書は、法人税・地方法人税は e-Tax、法人住民税・事業税は eLTAX で電子申告できます。資本金1億円超の法人などは電子申告が義務になっており、国税庁の手引も e-Tax の利用を案内しています。申告ソフトには、作成した申告書を e-Tax・eLTAX に送信する機能を持つものもあります。

確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出し、納付すべき税額があればその期限までに納付します(国税庁の手引)。株式会社べっぴょう(6月30日決算)の場合は、2026年8月31日が期限です。決算が期限までに確定しない事情がある場合などは、申告期限の延長の制度があります。

8. 翌期:前期分の税金の支払いを仕訳する

翌期に入って前期分の確定申告の税金を払ったら、帳簿で「未払法人税等」を取り崩す仕訳を記録します。この支払いは、翌期の申告書の別表五(二)に「充当金取崩しによる納付」として記録され、事業税の分は翌期の別表四で減算されます。こうして、1年間の流れが次の事業年度につながっていきます。

このサイトでたどれること

  • 試算表:決算整理後の科目残高から、決算書・別表へのつながり
  • 各別表のページ:欄をクリックすると、計算元・転記先がハイライトされる
  • 「自分で数字を入力して試す」:別表の数字を変えて、帳票の中の自動計算を確かめる
  • 転記・検算チェックリスト:帳票どうしで一致するはずの金額を、根拠つきで順に確かめる

出典:国税庁「令和7年版 法人税のあらましと申告の手引」第一部(確定申告・中間申告・申告書の作成)、東京都主税局「第6号様式 記載の手引」

最終更新日:2026-10-13

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